



赤いスパイダーの上部に、ガレージとリビングを繋ぐスリットを設ける。リビングに居ながらつねにスパイダーを感じられる仕掛けだ
Gさんの“最初のアルファ”である155は、屋外ガレージが定位置。中央にある赤いスパイダーは建築家・廣部氏の愛車
1階はガレージと檜板張り(床はコルクタイル)のバスルーム。2階はワンルーム風の大空間となっている
ひとり暮らしゆえのワンルームな空間が、Gさんのリクエストではあった。建築家の廣部さんはLVLの特質を生かした柱のない大空間を居住フロアに作り出してみせたが、ただそれだけではない。敷地から一段下がった茶畑に面するリビングダイニングの開口部は、2650mmの天井からフロアまで達しており、全開にしたときの開放感といったらない。いや、窓を閉めた状態でも開放感はたっぷりで、茶畑の上に乗り出しているような不思議な感覚を覚える。
就寝するスペースがリビングダイニングと同じ天井高では開放感がありすぎる。そこで床を50cm上げた(ゆえに天井高は2150mm)。上げただけではなくリビングダイニングに面した側に家具を設け、リビングダイニング側からベッドが見えないようにしている。空間的にはつながっているけれども、心理的には距離を作る、うまい仕掛けである。
感心するのは、就寝スペースをスキップさせることで生まれた、高さ50cmのスリットの利用法である。ここにガラスをはめ込むことで、階下のアルファが感じられるのだ。トラスが黄色く塗ってあるのは、Gさんによってオリジナルのレッドからイエローへとボディ色が変わった155に合わせたため(現在は赤いスパイダーが収まっている)。リビングダイニングに腰を下ろしているときも、階下のスパイダーの存在を感じていられる。アルファに対する気持ちを共有できる施主と建築家の関係が生んだ、心憎い仕掛けである。
仕掛けと言えば、2階床を釣るテンション材に配された金物や、ガレージの壁と天井の境界部分に施された構造上必要な金物は、アルファロメオのフロントマスクを特徴づける盾型のグリルをモチーフとした形状としている。ディズニーランドやそのオフィシャルホテルに見られる「隠れミッキー」のような遊び心だ。
居住スペース付きのガレージ(?)を手に入れたGさんは平日、アルファ以外の国産乗用車、またはバイクで出勤する生活を送っている。そして、休日になると、ご機嫌を損ねないように、赤と緑のスパイダーを交互に引っ張り出すのだそう。雨が降っている場合は、黄色い155の出番である。「仕事を終えて家に帰ってくると、センサー付きのライトがパッ、パッ、パッと順番に点く。それに照らされるスパイダーを眺めるのが気に入っています。たまにドアを開けっ放しにし、スパイダーを眺めながら風呂に入ることもありますよ」
すぐ乗れる環境を手に入れたことで自然と「よく乗る」とようになったという。クルマとオーナーの関係がより親密になるガレージだ。
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